第15回目は、ヘアメイクアップアーティストとして、雑誌や広告、webなどで活躍中のレイナさんにお話を伺いました。女優やモデルをはじめ、多くの女性から支持を集めるレイナさんは、まわりにいるみんなを笑顔にしてくれるようなハッピーオーラの持ち主。そんなレイナさんに、お仕事のことから日々健やかに過ごすためのTIPS、メイク前におすすめのマッサージ方法まで、いろいろと教えていただきました。
“メイクの仕事がしたい”その気持ちを信じて前に進みました
ー レイナさんがメイクに興味を持ったきっかけを教えてください。
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レイナさん:
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絵を描く祖父の影響のせいか、小さい時から絵を描くことが好きで、今思うとそれが“色”に興味を持ったきっかけだったと思います。また、母がフライトアテンダントをしていたのですが、いつもきちんとメイクをしている姿を身近で見ていたので、美容やメイクへの関心は早い時期からありました。母の留守中にメイク道具でこっそりメイクをして遊んでいた記憶があります。
ー そうなのですね。ヘアメイクアップアーティストというお仕事を意識したのはいつ頃ですか?
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レイナさん:
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中学生頃からスキンケアや眉のお手入れなどもしていて、テレビや美容室に置いてある雑誌などで、当時第一線で活躍されていたシュウウエムラさんやRUMIKOさんの存在を知りました。ヘアメイクアップアーティストという仕事があるんだと興味が湧きました。
ー それから志すようになられたのですね。専門学校などに進まれたのですか?
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レイナさん:
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高校卒業後は両親の勧めもあり大学へ進学しました。でもやっぱりメイクを学びたい気持ちが捨てきれず、大学に通いながらダブルスクールでメイクの学校に。一度決めたら突き進む性格なので、いざ勉強を始めてからは気持ちがぶれなかったし、迷いはありませんでした。まわりの友人からは不安視する声もありましたが、一度きりの人生だからあとで本当はやりたかったのに、と言いたくなくて。やりたい!という自分の気持ちを信じました。
遠回りして経験したことは、すべてに意味があって今に活きています
ー 大学卒業後にヘアメイクアップアーティストとして活動し始めたのですか?
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レイナさん:
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大学卒業後は、大手化粧品会社で3年間BAとして働きました。そこで、毎日たくさんのお客さまの肌に触れ、それぞれに違う肌悩みに向き合い毎日が勉強でした。その経験は今の大きな財産になっています。退社後は、フリーランスで活動しながら、ヘアメイクアップアーティストの田中宥久子さんの撮影アシスタントもさせていただきました。メイク前のマッサージや大人に似合うメイクはその時に学びました。
ー とても良い経験を積まれたのですね。今のお仕事にもとても活かされていますよね。
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レイナさん:
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でも実は独立してから、高校や大学卒業後すぐにヘアメイクアップアーティストとしての道を進んだ人たちと比べて、自分はちょっと遠回りをしてしまったかなと思ったこともあったんです。それでもいろいろなご縁を経て今があるし、遠回りして経験したことも、すべてに意味があったんだなと感じています。
ー 今では、美容誌で目にしない時はないほどご活躍されているレイナさんですが、雑誌のお仕事をはじめた頃は葛藤もあったそうですね。
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レイナさん:
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始めた当初は、スキンケアステップなどのページが多く、本当はもっとカラーを使った華々しいページもやりたいという気持ちも。それがある時「レイナさんが作るベースはすごく薄いけどきれいだから助かるんだよね」と言われて、だからスキンケアのページが多いんだと気づきました。自分ではコンプレックスに思うことも、人から見たら長所なんだ、他の人にはない武器なんだと視点が変わったことは、自分の中で大きな転機になりました。
ー それは嬉しいですね。仕事ではなかなか自分の思うようにいかないこともありますが、どのように気持ちの切り替えをしていますか?
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レイナさん:
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「どんなに大変なことでも、クリアできないことは起きない。やるべきことが残っていたら生かされる」と聞いたことがあります。自分がやりたいと思う方向とは違うけど、ご縁を大切にしてまずはやってみること。うまくいかない時は、準備期間だと思っています。栄養とお水を上げてきちんと準備しておけば、いつか花が咲くタイミングがくるんですよね。
私の人生の使命は、美容を通じてたくさんの女性をきれいにすること
ー レイナさんが、メイクをする上で大切にしていることはどんなことですか?
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レイナさん:
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メイクだけが目立つのではなく、その人自身が持つ美しさを引き出すこと。その人が気づいていない内側にある輝きを引き出すことを大切にしています。自分の人生の使命は、プロフェッショナルなモデルだけでなく一般のいろんな人を、美容を通じてきれいにすることなんだと、考えています。
ー 現在はヘアメイクアップアーティストのお仕事をしながら、一般の方へメイクレッスンも行っていらっしゃいますよね。いつから始められたのですか?
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レイナさん:
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2011年から始めて7年目になります。約2時間、マンツーマンでメイクやスキンケア、マッサージなどのアドバイスをお伝えしています。私自身も一般の方とお話しをして肌に触らせてもらうことで、吸収することがたくさんあるんです。五感+六感をケアできるような空間にしたいと思っていて、その人自身が目覚めるというか、新しい気づきやスイッチを入れられる場所になると嬉しいです。
ー メイクレッスンをしようと思われたきっかけはありますか?
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レイナさん:
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雑誌の企画でメイクテクニックを教えるページのオファーが多く、メイク法を細かく解説をしていたら、美容誌の編集者の方に「メイクの説明がわかりやすいよね」と言っていただいて。私って伝えることが得意なんだと気づいたので、じゃあ伝える場所を作りたいと思いレッスンを始めました。
ー お仕事の方からも絶大な信頼が寄せられていますね。お仕事に対して真摯に向き合うレイナさんのお人柄もその理由の一つだなと感じます。メイクをする時は論理的に考えながらするのでしょうか?
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レイナさん:
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本当はとても感覚的なんです。メイクをする時も細かく考えず、目の前の人をかわいくするだけ。それを人に伝える時に巻き戻して自分がしたメイクを考えると、そこに必ず理由があることに気づいたんです。丸顔だからここに影を入れて、ここに光を足してとか。メイクにも料理と同じように法則があって、砂糖を足したり醤油を足したりするように、無意識に色と質感の組み合わせでバランスをとっています。
しんどい時こそ、口角をあげて笑っていれば、たいていのことは突破できます!
ー ご自身の直感ややりたい気持ちを信じて行動するレイナさんは、誌面で拝見してもイキイキと輝いている印象です。日頃心がけていることはありますか?
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レイナさん:
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一番は笑顔です。しんどい時こそ口角をあげることを意識しています。どんなことも、笑顔で過ごすだけでたいていのことは突破できると信じています。笑顔でいると、自分だけでなくまわりも和やかな雰囲気になりますよね。
ー 本当にそうですね。キラキラしたレイナさんの笑顔を見ていると、何でもうまくいく気がしますね。
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レイナさん:
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口角が下がると呼吸もしづらくなるんです。口角をしっかりあげて酸素をたくさん取り込むことで、視界や思考もクリアになって心に余裕も生まれる気がします。顔色も全然違いますよ。息を吐くことを意識すると、自然と空気が吸えるようになります。
ー 他に、仕事やプライベートで意識していることはありますか?
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レイナさん:
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仕事で考えすぎて答えがみつからない時は、その場から離れて違う世界を見てみるようにしています。散歩などでもいいですし、環境を変えると発想や視点が変わるというか。そうすると、なんだこうすればよかったんだと意外と簡単に解決することも。あとは興味があることは考えすぎずにやってみる。仕事に直結するかどうかは置いておいて、自分がワクワクして楽しめることに挑戦するって、いくつになっても大切なことだと思っています。最近ではフィトセラピーや着付けを学んでいます。茶道にも興味があるのでぜひチャレンジしたいですね。
ー 輝く笑顔を作るためにおすすめのセルフケアを教えてください。
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レイナさん:
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心も体も悪いものを溜め込まないことが大切。セルフマッサージなどで毎日少しでもケアするだけでも違うと思いますよ。私のマッサージは指圧に近く、ぐーっと圧をかけて奥の方にあるコリをほぐすイメージ。呼吸に合わせて、きちんと鏡を見て意識してやると効果的です。
1
脇はリンパのゴミ箱。脇に指4本を入れて、親指で腕の付け根をしっかりもみほぐします。パソコン作業で巻き肩になる人は固まっている可能性が高いので、痛気持ちいいくらいの強さでしっかりほぐしましょう。
2
口の横にV字のように拳を当て、息を吐きながら上に持ち上げるようにグッと圧をかけます。この時テーブルなどにひじをついて顔を乗せるようにすると圧がかけやすくなります。
3
息を吐きながら、耳の前まで拳をスライドします。息を止めていると痛いので注意して。奥歯の噛み合わせ部分で拳を細かく上下に動かしながら、コリをグリグリとほぐします。ここのコリを放置していると口が開きづらくなって、口角が下がり顔のたるみの原因に。
4
眉尻の斜め上の生え際が少し出っ張ったあたりを指で小さい円を描きながらほぐします。眼精疲労や下がってきた目尻に効果的です。
5
親指で、首の付け根中央にある盆の窪の両横、くぼんだ部分を押してほぐします。頭を後ろに傾けて、指に押しつけると力が入りやすくなります。
呼吸と瞑想、朝日を浴びることで生活が整い、ストレスも軽減
ー ヘルシーな心と体、肌のために、日常で取り入れている習慣などはありますか?
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レイナさん:
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瞑想と朝日を浴びることです。瞑想は起床時か就寝時に行うことが多いですが、疲れた時に椅子に座った状態でも行います。難しいことはなく、呼吸を整えることに意識を向けるだけ。無になろうとしてもどうしても考えは入ってくるので、あまり意識せず呼吸だけに集中して他の考えは受け流しています。気持ちが落ち着きますよ。
ー 瞑想と聞くと難しいイメージですが、いつでもどこでもできるのがいいですね。朝日を浴びるのも気持ちよさそうです。
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レイナさん:
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職業柄、意識しないとどこまでも仕事の時間になって、不規則な生活になりやすいので、きちんと朝早く起きて朝日を浴びるようにしています。起きる時はちょっと辛いのですが、外に出ると空気が気持ちよくて。早起きをすると仕事にも集中できるし無駄がないんです。当たり前だけど、規則的で人間らしい生活、自然と共に生きることは大切ですね。
ー 当たり前ですが、都会の生活をしていると難しいことでもありますよね。意識し始めて何か変化はありますか?
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レイナさん:
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自然のリズムに合わせて生活をすると、自分も自然の一部なんだということに気づかされます。早寝早起きをすると、ストレスがかなり軽減されたと思います。仕事も時間を決めて割り切ってできるようになり、時間を有効的に使えるようになりました。フリーランスなので体が資本。また人に触れる仕事なので、自分が元気でないといけないなと思っています。
大人のキレイを応援する本も出版。著書『いくつになってもキレイになれる』(主婦の友社)が公表発売中。
経験を通じて気づいた“人をきれいにする法則”を、たくさんの人に繋いでいきたい
ー レイナさんの今後の展望や挑戦してみたいことを教えてください。
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レイナさん:
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死ぬまでに100冊の著書を出版したいです!あとは、将来はメイクスクールを作りたいと思っているんです。ずっと考えていて、今は教えられる人材を育成しているところです。教えることが得意だし、人をきれいにする法則に気づいたこともあり、それを次の世代に繋いでいくための場所を作りたいと思っています。
メイクは技術があればいいと思って傲慢になっていた時期もあったのですが、完璧にメイクをしたのに相手に喜んでもらえなかったことがあって。心理的な部分のケアも大切だなと気づき、そういうことも教えられるような学校にしたいと思っています。夢は大きいけど、ひとつずつ雲を祓うように進んでいけば叶うと信じています。人に伝えていくことで、もっとたくさんの人がきれいになれたら嬉しいです。
Photos by:Nobuki Kawaharazaki
レイナさん
(れいな)
ヘアメイクアップアーティスト。メイクアップサロン「Crystalline」主宰。美容師免許取得。
大手化粧品会社に勤務中にさまざまな女性の肌に触れ経験を積みながら、多くの先輩方に学ぶ。2006年よりフリーランスのメイクアップアーティストとして活動。幅広い年齢層の女優やタレントのみならず、文化人や一般女性まで、その人らしさを生かしつつ、隠れた魅力を引き出すことが得意。ビューティーを中心に、美容誌・女性誌の美容企画の監修、 CM 、Webの撮影に加え、メイクイベントへの出演、化粧品会社の製品開発のアドバイス等、一線で活動中。完全予約制にてプライベートメイクレッスンのほか、グループレッスンなども行う。感覚のメイクを、誰もがわかるシンプルな言葉と方法で伝えることを常に心がける。
http://www.reina-make-up.com
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