第66回目も、引き続き都田恵理子さんにお話を伺います。今回はブランド立ち上げから苦楽を共にした取締役兼宣伝広告部 部長の本田晃久(ブランド立ち上げ当時は、商品企画開発)も参加し、ブランドの誕生背景や都田さんの当時の仕事を振り返りながら、ドゥーオーガニックが大切にしているものづくりの思いについて語ります。

“「ドゥーオーガニックは、都田さんのような人に使ってもらいたいブランド」。面接で言われたひと言が決め手でした”
ー 都田さんが所属していた部署や仕事内容について教えてください。
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マーケティング部に所属し、ドゥーオーガニックの広報を担当していました。新商品が出る時に、プレスリリースを作り、メディアの取材誘致、ブランドの魅力を伝えて、どのように取り上げていただけるかというのを考える仕事です。その中で、オーガニックや植物の魅力についてもたっぷりとお伝えするというのも仕事の1つでした。立ち上げから約10年間関わらせていただきました。
ー 立ち上げメンバーとして入社したきっかけについて教えてください。
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都田さん:
もともと、同じメンバーだった方に声をかけていただいたのがきっかけです。それまではファッション業界に携わっていましたが、もともと化粧品会社に勤務していたこともあり、ビューティーの仕事に再び魅力を感じていたタイミングでした。ブランドはもちろん、会社自体も新しく立ち上げるというところにも魅力を感じて入社を決めました。 -
本田:
そうでしたね。化粧品会社<ちふれ>のグループ会社として立ち上げたのが<ジャパン・オーガニック>という会社です。そして2008年10月に国産オーガニックコスメブランドのドゥーオーガニックを発売しました。
ー 都田さんは、入社当時からオーガニックコスメに関心がありましたか?
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都田さん:
入社を決めた時点では、まだオーガニック化粧品のイメージが見えていませんでした。オーガニックに対して、どうしても窮屈なイメージを抱いていたのですが、「お客さまが使い続けていただきやすい商品をきちんと作りたい」とお話しいただいたことと、どんなお客様に使って欲しいか尋ねたら、「都田さんのような人」と言われたことが印象的で、今でも覚えています。当時の私はオーガニックにまったく触れたこともなく、興味を持つこともありませんでした。思い起こすと、そんな人を振り向かせるための感覚が必要とされたのだと思います。そんな私を登用してくれたことが嬉しかったですね。 -
本田:
最初は男性ばかりでしたので、女性ならではの視点はとてもありがたかったです。広報担当としてだけでなく、パッケージデザインや開発にも関わっていて、マルチに活動してくれていましたね。 -
都田さん:
ファッション業界にいたという経験を活かして、プロダクトデザインの部分やテクスチャーのジャッジ、商品撮影のスタイリングなど、広報の枠を超えてお手伝いすることができたのはとてもいい経験でした。

“肌への優しさ、環境負荷を減らすという考え方を、さらに一歩進めたオーガニックで実現していくために立ち上げたブランドです”
ー ドゥーオーガニックを立ち上げたのは、どんな経緯があったのですか?
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本田:
<ちふれ>がもともと持っていた肌への優しさ、環境負荷を減らすという考え方を、さらに一歩進めたオーガニックで実現していくために、新規事業として立ち上げたブランドです。<ちふれ>は、スキンケア商品の詰め替えを最初に作ったブランドです。エシカル視点の化粧品づくりを考えたとき、原料の川上から変えていくことが、結果的に川下の環境保全にも繋がるはずだと考えました。 -
都田さん:
研究員が海外の展示会に出向き、ヨーロッパを中心にオーガニックコスメが暮らしに根付いていることを知り、それがどういうふうに世界で受け入れられているか、環境保全を軸にして人と環境に優しい化粧品についていろいろと調べてきてくれました。私たちはそこをベースに、よりスキンケア効果を高めたものを作ろうということで、ドゥーオーガニックが誕生しました。
ー その頃日本のオーガニックコスメはいくつかあったと思いますが、ドゥーオーガニックはどんな立ち位置でしたか?
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都田さん:
国産のナチュラルコスメや海外のオーガニックコスメブランドはすでにありましたが、当時の日本でオーガニックコスメのイメージは、シャンプーやボディソープなど顔以外のものが主流でした。スキンケアで、しっかり研究を行って作られたものというのはまだなく、注目をされていたと思います。
ー 開発からデビュー当時は苦労もたくさんあったと思いますが、とくに大変だったことはありますか?
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本田:
現在ドゥーオーガニックのスキンケアは、すべてエコサート認証※を取得(2017年1月以降は統一規格COSMOS認証取得)していますが、ローンチ時点では実は取得できていなかったんです。取れると見込んでいた処方が、エコサートのレギュレーション変更により取得できませんでした。新しいレギュレーションに適合させるには、原料を変更し、もう一度組み直さないといけません。やむなく認証がないままデビューしました。やっと基準の内容を満たして取得できたのが2009年。正式に、グローバルな視点で認められている認証を取得したオーガニックコスメと言えるのは、ローンチから1年後でした。
※世界最大の国際有機認証機関 -
都田さん:
環境配慮や肌への効果はもちろんですが、心地よく使い続けていただけるものを目指していたので、デビュー当時の肌なじみという意味では、理想とはまだまだ程遠いものでした。保湿力やエイジングケアというところでも、当時は納得できていましたが、今考えると、まだまだブラッシュアップできるなという余地はありましたね。 -
本田:
そうですね。いつでも消費者目線でのものづくりを心がけているので、心地よく使っていただけるよう、テクスチャーや肌なじみについてはかなりこだわってきました。オーガニックコスメは、微量元素を多く含んだ天然成分で構成されるため、いかに刺激を出さずに美容効果を高めながら配合するかというのが難しいところ。石油系原料を使わなくても、独自の組み合わせ技術により、肌への優しさと美容効果を両立できています。ここまでこだわれるのも、研究所を持つ製造メーカーだからこそできることだと思っています。 -
これまでも何度も改良を重ねていて、デビュー当時からある化粧水のエクストラクト ローション アドバンストは、今6代目です。当時実現できる形と、お客さまやメディアに近い商品企画開発の私と都田さんが思い描く理想にズレが生じて、ぶつかる場面もありました。「世界のどこにもお手本がないんだから、そんなに簡単じゃない!」と先輩である研究開発者から言われ、けんかしながら商品作りをしていましたね(笑)。今となっては思い出深いです。
-
都田さん:
もっといいものが作れると信じていたし、お互いを信頼し合っているからこそ、ぶつかっていたのだと思います。私たちはこういうテクスチャーでこういう保湿力が欲しい。ただ、作る側としては、当時は今よりも使える原料に制限があるなかで、ちゃんとオーガニックの基準も満たしながら、美容としての機能も出すというのは相当難しかったと思います。私は今は食に携わっていますが、食べる時も食べ合わせがとても大事です。化粧品も成分の組み合わせ方で刺激が出たり、美容効果がぐんと高まったり。食と美容の原理は似ているし、繋がっているなと感じます。

“PRだけでなく、開発からデザインまで携わったからこそ、商品の魅力すべてを届けることができました”
ー たくさんの人の思いで生まれた商品ですね。そんな思いの詰まったブランドをPRとして外へ伝えるとき、心がけていたことはありますか?
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都田さん:
たくさんの方に知っていただくために、メディアの方にブランドや商品の魅力を伝えるキャラバンでは、たくさんの化粧品ブランドと同じ土俵で戦っているんだという気持ちで、熱も入りました。開発からデザインまで携わったからこそ、商品の魅力すべてを届けることができることが自分の強み。勝負の場所だと思って、キャラバンに挑んでいました。その中で思ったのは、情緒も大事だけど、機能性はもっと必要とされているということ。メディアの方は、フィルターを通してそれを伝える役目なので、きちんとその商品の特徴と他社との差別化ができていないと、読者に伝えることができません。その差別化をできる部分がどこだろうかと常に考えながら、キャラバンをしていたと思います。 -
また、いかに環境に負荷をかけないかということと、美容意識の高い日本女性が納得してくれるものをどれだけ研究しているかというところは、根拠も含めて伝えるということを心がけていました。編集やジャーナリストの方にも、データをここまできちんと取っているブランドは、オーガニックコスメではほかにないと言っていただくことも多く、また説明書を減らす省資源の紙パッケージも褒めていただくことが多かったです。とはいえ、まだまだ足りない部分があって、ジャーナリストの方々から正直なご意見をいただくことも。私はそのお声を集める係でもありました。いただいた意見は、新製品や商品リニューアルの際できるだけ反映するようにしていて、おかげでお客さまやメディアの方々のご意見、私たちの思いがすべて詰まった商品に育っていくことができたと思います。
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本田:
デビュー当時も今も、お客様の声を取り入れて、ブラッシュアップしていく姿勢は変わっていません。都田さんのPR力のおかげで、たくさんの方に知っていただけたと思っています。ヒールを履いて、体と同じくらいの大きな荷物を抱えて、キャラバンへ出かけていた姿を思い出します。 -
都田さん:
PRを通してたくさんの出会いもいただきました。在職中、美容に携わりながら健康的な食の専門知識を身につけて活動していたことで、メディアやジャーナリストの方から興味を持ってもらうきっかけにもなっていたし、広報でお世話になっていた編集部の方に声をかけていただいて「madame FIGARO.jp」で執筆しているブログは今でも8年間続いています。

“いろいろな方に支えられているドゥーオーガニック。たくさんの出会いを届けられるブランドであり続けて欲しい”
ー 都田さんの思い入れのある商品を教えてください。
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クレンジング リキッドは、は機能性重視の商品で、私の中では毛穴ケア部門1位。キャラバンに行くのが楽しみだったシグネチャー商品のひとつです。手の甲にウォータープルーフの口紅を塗って落とすと、本当にスルッと落ちるというのを、実際にその場で見て実感していただいきやすい商品でした。今でも透明感や毛穴ケアでおすすめを聞かれると、これを挙げます。クレンジングが、肌トラブルの原因にもなると耳にすることも多くなっていますが、ウォーターベースという点で、肌への負担も和らげてくれる気がして。とくに気持ちが入る商品でした。

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開発改良にも携わり、思い出深いマッサージ バッグ。発売当初は形状もパッケージも違いました。個包装でしたが真空パックではなく、中身がカチカチに固まりやすいというトラブルも。天然素材だからこその課題は多かった商品のひとつです。また、オーガニックコットンも少し肌あたりが気になったので、それを見直して今の形に。クレイと有機米ぬか、米胚芽油、洗浄成分の4つの原料のベストバランスで美容効果を高めています。気持ちをなごませる見た目と、米ぬかの美肌効果にファンが多いアイテムです。
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また、ものづくりの現場、原料を栽培している場所に足を運べたのは、私にとってとてもいい経験でした。製造では、現場の手作りしている姿に心を打たれました。ひとつ一つ布を広げて中身を置き、手作業で糸を巻いてこの形を作ります。今もその作り方で、とても手がかかっているんです。有機米ぬかパウダーとクレイを包んでいるオーガニックコットンは、日本では少ない自社一貫生産でオーガニック認証されたタオルを製造する<スマイリーアース>にお願いしています。真摯にエシカルな取り組みをしている会社です。いろいろな方に支えていただいて作ることができているんだと実感した商品です。

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アロマ ソルトも、いろいろな方の力が集まった商品です。ブランド初のバスアイテムでした。千葉県袖ヶ浦市の社会福祉法人かずさ萬橙会「かんてら」で製造を行なっています。彼らは障がいをもちながらも、それぞれの個性と能力を活かし、クオリティの高い製品づくりにチャレンジしています。岩塩の加工、塩製品の製造で多くの実績を持つ、プロフェッショナル集団です。さらに、美容ジャーナリストで植物療法士の久保直子さんに、香りのブレンドをお願いしました。天然精油と岩塩の力で体も温めながら、美容にも貢献してくれるものだと思います。

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ブライト サーキュレーター ミルク(炭酸※を配合した泡乳液)は、ハイブリットな部分がドゥーオーガニックらしいと感じる1本です。しかも二酸化炭素(炭酸※)は、リサイクルの二酸化炭素を使用しています。美容に良い一方で、食もそうですが環境に負荷をかけないものを選ぶとことは、物を選ぶ上で大事な基準。美容と資源活用がうまくリンクしていることが大事だと、この商品を見て学びました。
※噴射剤
ー どれもブランドを代表する商品ですね。最後に、ブランドのこれからに期待することを教えてください。
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もっともっと、たくさんの人に手にとってもらえる機会が増えると嬉しいです。最近の新商品はとくに、機能性も使用感もよく目を見張るものがあります。また、スタートアップメンバーとして、ブランドの成長に携わった経験は、自分の生き方と世界を広げるきっかけの一歩となりました。お客さまやプレスの方から寄せられたご意見や、さまざまな社会課題に向き合う機会を得たからこそ、視野が広がり、いろいろな気づきを得たと思っています。結果的に、自分のなかに起こる変化に気づかせてくれるきっかけにもなりました。これからも、そんな出会いをたくさん届けてくれるブランドであり続けて欲しいと期待しています。
photos by yoshimi
hair&make by Yumi Kikuchi edit&text by Hitomi Takano

都田恵理子さん
(みやこだ・えりこ)
ローフード研究家、PR。1976年生まれ。2013年から自身の体質改善を図るため植物をベースにしたヘルシーな食生活にシフト。日本リビングビューティー協会・ローフードマイスターの資格を取得する。国産オーガニックコスメ<ドゥーオーガニック>で10年間PR担当を経験したのち独立。オーガニックで美しく健康になることをテーマにウェルネスに関する旬な情報を発信中。madame FIGARO.jp「オーガニックコンシャスな生活」(https://madamefigaro.jp/author/member/eriko-miyakoda.html)、ORGANIC STORY「私がハマった、オーガニック教えます。」(https://www.or-st.net/tag/都田恵理子/)
Instagram:@erikomiyakoda
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