“自分ができる範囲で無理なく”をモットーに、楽しむ工夫を・中島潮里さん<前編>

“自分ができる範囲で無理なく”をモットーに、楽しむ工夫を・中島潮里さん<前編>

2021.10.01

第55回目は、ヴィーガンビューティサロン&カフェ「whyte」のトップスタイリストとして活躍する美容師の中島潮里さん。美容師として活躍しながら、クリーン活動をメインに環境問題に関わる活動も積極的に行なっています。”自分ができる範囲で無理なく”をモットーに、楽しみながら活動と発信を続けている姿は、とても魅力的。中島さんの取り組みや環境問題などへ関心を持ったきっかけなどについて伺います。

東京・原宿にある「whyte」。ヴィーガンカフェが併設されている。裏には、8月にオープンした2店舗目「whyte villa」がある。

環境問題やヴィーガンについて考えるきっかけになってほしい

ー 「whyte」は、どんなサロンですか?

“自然体に”をテーマにしたサスティナブル&ヴィーガンサロンです。美容に、動物性は必要ないという考えです。食でヴィーガンというのは、なかなかハードルが高いかもしれませんが、美容だったらもっと無理せずにおしゃれを楽しんでいただけるのではと。サロンを訪れることで、環境問題やヴィーガンについて考えたり、知ったりするきっかけになれたらという想いがあります。

ー 美容師をしながら、さまざまな活動や発信もされていますが、具体的にどんな活動をされていますか?

定期的にクリーン活動をしたり、社会問題や環境問題について発信したりしています。クリーン活動なら、環境問題に興味があるけど何をすればいいかわからないという人も巻き込んでやっていけるかなと思って。海だけでなく、サロンがある原宿でも行っています。自分たちでやることもあれば、環境活動をしている人をゲストに招いてお話を聞いたり、ビーチヨガをまじえたイベントをしたり。できるだけ月1回、無理ないよう続けています。

ー とても楽しそうに活動されていますよね。どんな方が参加されていますか?

出産をきっかけに環境問題に興味を持ったママや、自分の未来のことを考えてやっている学生など、さまざまな方がいます。“自分で行動できること”の1つとして、クリーン活動を選択しているという方は多いのかなという印象です。興味はあるけど、実際拾ったゴミをどうしたらいいかわからない、分別の仕方がわからないという方もたくさんいるので、私たちがリードすることで、始めやすくなるといいなと思っています。

ー 確かに、何か始めたいという方には、身近なところで始めやすいアクションかもしれませんね。参加された方々は始めてみてどんな様子ですか?

自分の手でゴミを拾ってみることで、日常生活でも、このゴミがどういうところから流れてきているのかなと考えるきっかけになったり、ゴミを減らすよう意識するようになったり。みんなの意識がどんどん変わっていくのがわかるので、それも嬉しいです。

“自分ができる範囲で無理なく”をモットーに、楽しむ工夫を

ー 中島さんが、ヴィーガンや環境に興味を持ったのは、どんなきっかけからですか?

アシスタント時代に体調崩したことがきっかけでした。ハードワークで体調がいつも悪くて、薬剤を使うので手荒れもひどくて。気持ちも落ち込んでいることが多かったんです。このままでは良くないと思い、まずは食事から見直しました。そこからオーガニックにも興味が広がって、目の前の食べ物の背景を知ったり、考えたりするうちに、環境問題や食、美容もすべて繋がっていることに気づいたんです。今は、添加物や動物性は極力控えたプラントベースの食生活に。自然と、コスメやスキンケアもナチュラルなものを選ぶようになりました。

ー サロンではどんなことにこだわっていますか?

薬品類は、ヴィーガン認証を取得している、動物性成分を使っていない、動物実験をしていないものを使うことが前提です。私も使用しているヴィーガンカラーは、発色も鮮やかで、ヴィーガンブリーチと合わせると、なかなかできないカラーもきれいに発色するんです。いわゆる有害と言われている成分は使っていないし、環境にも頭皮にも優しい。カラー剤で染みるという方にも負担が少ないのでおすすめです。

ー サロンでの取り組みは、インスタグラムなどでも発信されていますが、いろいろと工夫して楽しく実践されているのが印象的です。

“自分ができる範囲で無理なく”をモットーに、無理せず楽しくできる範囲で、続けられることをやっています。サロンではとくに、ごみを減らすことを意識しています。ゼロにするのは難しいのですが、例えば、美容室では通常ハイライトペーパーを1人50枚くらい使うので、ものすごい量のゴミが出ます。だから使い捨てではなく、洗って拭いて何度も使えるタイプを選んでいます。あとは、お手洗いでもペーパータオルは使わず、タオルをお渡ししています。

ー 1人50枚とはすごい数ですね。

ラップもかなりの消費量になるので、できるだけ使わないようにしています。技術的にどうしても必要なときもあるので、その場合はもちろん使用しますが、代用できるところは、繰り返し使えるシャンプーキャップで代用します。また、薬剤などがつかないよう首元にタオルとラップを巻くサロンもありますが、よく考えたらラップまで必要ないなと。お客さまへの配慮でもあるのですが、もしついたら拭けばいいし、その前につけないように技術を磨く方がいいなと考えました。

ー 美容室だけでなく、日常や企業でも、視点や発想を変えると案外必要ないものも多いかもしれませんね。

そうなんです。あとは、CO2の排出を減らすという意味で、サロンでも自宅でも電力は自然電力を供給する会社に。インターネットで簡単な手続きをするだけだし、電気代も電力の供給もあまり変わりません。マイボトルやエコバッグを持ち歩くよりも簡単にできて、インパクトも大きいんです。美容室はコンビニの数より多いと言われているので、自然電力に切り替えるサロンが増えるといいですよね。

左/繰り返し使えるハイライトペーパー。右/「カラー剤のチューブは集めておいて、車椅子を作るための支援をしている団体へ、寄付しています。キャップは、溶かしてコースターにするなど、ゴミになる前に何かできないかいつも考えています」

左/カフェでは、マグカップとテイクアウトカップが選べる。テイクアウトカップは生分解性の高いもの、紙ストローを使用。サロンで提供する際はマグカップで、髪の毛が入らないようにシリコンのふたを。ストローはステンレスのものを使用。右/スタッフはみんなマイボトルを使用。ステッカーなどを貼って、自分らしくアレンジ。

今より、少しでも良くなるためにできることを

ー 普段の暮らしで変わったことはありますか?

洋服に対する考え方は、とても変わりました。物欲がなくなったんです。アシスタント時代は、とにかく流行の服を着ないといけないと思って、ファストファッションをたくさん買っては、シーズンが過ぎたり、着古したりしたら捨てるの繰り返し。でも地球全体のことを考えると、これって本当に必要なのかな、人からこう見られたいからそれが欲しいと思っているんじゃないかなと考えるように。最近は、古着や環境負荷の少ないブランドのものを購入することが増えました。今日履いているヴィーガンレザーのブーツもお気に入り。また着なくなった洋服は後輩に譲るなど、捨てない選択を考えます。

ー とても素敵ですね。楽しく続けられるコツを教えてください。

“自分ができる範囲で無理なく”というのは、やっぱり大切にしています。環境問題もオーガニックも、知れば知るほど絶望するんです。でも、何もしないと何も変わらないので、完璧じゃなくても、今よりどうしたら少しでもよくなるかなと考えながらやっています。活動をしていると、同じように関心を持っていたり活動したりしている方が、情報をシェアしてくれるし、仲間も増えて、それも楽しい。サロンのお客さまからも良い情報や刺激をもらっています。

ー 後半では、中島さんが環境に興味を持ったことで変化したマインドや暮らし、ドゥーオーガニックの印象に残った商品などについて、お話を伺います。

photos by yoshimi
   edit&text by Hitomi Takano

中島潮里さん

中島潮里さん
(なかじま・しおり)
ヴィーガンビューティサロン&カフェ「whyte」トップスタイリスト。都内のヘアサロン勤務を経て、2018年8月にスタイリスト仲間と共にヘアサロン兼カフェ「whyte」を設立。インスタグラムでは、オーガニックコスメやヘア&メイクアレンジのほか、サスティナブルなライフスタイルを提案・発信している。
https://whyte.tokyo/
@whyte_shiori