第19回目は、ビープル バイ コスメキッチンのディレクターを経て、フリーランスのブランディングディレクターとして活動をはじめた佐藤香菜さんにご登場いただきます。佐藤さんがオーガニックに興味を持ったきっかけやフリーランスになって変化したこと、日々を暮らす中で大切にしているテーマなど、語っていただきました。まわりを俯瞰でみるクールさと好きなものへの熱い想いを併せ持つ二面性がとても魅力的でした。

オーガニックに興味を持ったきっかけは、母の影響でした
ー 佐藤さんが、オーガニックに興味を持ったのは、どんなきっかけからですか?
佐藤さん:
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もともと母が、日本にオーガニックという言葉が浸透していなかった頃から、体にいいものを取り入れるということに積極的な人でした。いつも家の冷蔵庫にはいっていたのはどくだみ茶。パンも玄米パンでした。いま思うとすごくストイックなわけではなく、いいこだわり具合だった気がします。今でも「いい水といい調味料を使ってね」とは言われます。
ー 小さい頃から、オーガニックが日常にあるとてもいい環境だったのですね。
佐藤さん:
-
そうなんです。ですから、コスメも自然とオーガニックを選ぶように。高校時代、バイト代で初めてオーガニックコスメを買ったのですが、今まで嗅いだことのないパワフルな植物の香りと外国のおしゃれなパッケージに心躍ったことを覚えています。それから私のオーガニックコスメ人生がはじまりました。
ー それで、コスメキッチンへ入社されたのですね。
佐藤さん:
-
コスメキッチンで働く前は、営業や事務職、撮影スタジオの受付など、いろいろな仕事を経験しました。コスメキッチンで店長をしていた時に、新しい業態の立ち上げディレクターとして声をかけてもらって本社へ異動になり、ビープル バイ コスメキッチンを立ち上げました。オーガニックコスメの仕事をはじめてから、仕事やプライベートでもいろいろな国へ行くようになり、世界が広がりました。貴重な経験をさせてもらったなと思っています。

フリーランスになって、働き方やライフスタイルもがらりと変わりました
ー フリーランスになられた現在は、どのような活動をされていますか?
佐藤さん:
-
ブランディングディレクターとして、化粧品や食品を製造・輸入・販売をしている企業のコンサルティングを中心に行っています。その会社の商品がより多くのお客様に届くまでの手法を考えたり、海外から上陸したブランドを日本で広めるためのプランを立てたりする仕事です。
ー 具体的にはどのような内容でしょうか?
佐藤さん:
-
例えば、手にとってもらいやすい商品パッケージや商品名の提案、ポスター(ヴィジュアル)の制作、またメディア向けイベントを企画するなどのPR手法を考えること、「どんなブランドなのか」を具体的にキャッチフレーズやコンセプト文にまとめていくことを、その企業の社員の方々と話し合いながら、一緒に行っています。もともと、自分の頭の中で着々とビジョンを描いていくのが大好きなので、そのアイディアを一緒に形にしていくことを喜んでくださるクライアントに囲まれていることは、本当に幸せです。
ー 前職での販売やディレクターの経験が活かされているのですね。フリーランスになって、ライフスタイルに変化はありますか?
佐藤さん:
-
時間を効率よく使えるようになりました。静かな自宅で企画書を作ったり、アイディアを考えたりすると短時間で集中して作業できるので、タスクもあっという間に終わります。また会社員時代は外食が多かったのですが、フリーランスになってからは自炊も増えました。主人の実家が農業をしているので、フレッシュな野菜がたくさん届くんです。早めに帰ってご飯が作れる幸せ、好きな時に好きなだけハーブティーを飲める幸せを噛み締めています。
日中や仕事終わりは、頭の中や気分を意識的にリセットすることが大切
ー プライベートを楽しむ時間が増えると暮らしも豊かになりますね。一日をどのように過ごされていますか?
佐藤さん:
-
実は朝が苦手なんです。いきなりガバッと起きないで、一度うつ伏せになってヨガのチャイルドポーズをするなど、徐々に体を起こしていきます。朝起きたら酵素ドリンクを飲んで、スープやヨーグルトなど軽めの食事を摂ります。日中は、常にいくつかの案件を数時間おきに考えているので、合間にアロマの香りで気分をリセットするようにしています。夜は必ず湯船に浸かり、「何もしない&何も考えない」時間を意識的に作ります。アーユルヴェーダでいうカパ体質なので、睡眠がとても重要。しっかり寝るようにしています。
ー フリーランスの方はオンオフの切り替えが難しいとよく聞きますが、佐藤さんはどのように切り替えていますか?
佐藤さん:
-
仕事をしてそのまま帰宅してしまうと、頭が仕事モードになっているため、つい家でもパソコンを開いて残った仕事をやってしまいます。アーユルヴェーダでヴァータの体質も持っているので、とめどなく仕事をしてしまうんですよね。自分で区切りを設けて意識的にリセットするようにしています。
ー 切り替えのためにいつもしていることはありますか?
佐藤さん:
-
仕事帰りに地元の行きつけのコーヒー屋さんで、他愛ない会話をすること。そのお店は普段私のまわりにいないような個性的なお客さんが多くて、そういう方々の体験談を聞くだけでもとても面白いんです。ちょっとした悩みもどうでもよくなるんですよね(笑)。そうやって頭の中をオフにしてから自宅に帰ります。異なる環境の人と関わるのも楽しくて、観察力も養える気がしています。

「嫌なことに焦点を当てない」「適温でいる」が、テーマです
ー 凛としていながらも柔らかな空気感をお持ちの佐藤さんですが、考え方や生き方のベースになっているモノ・コトはありますか?
佐藤さん:
-
嫌なことに焦点を当てれば口角は下がるし、楽しいことを考えれば口角は上がって目はキラキラ輝く。常に楽しい未来を思い描いて、必ずうまくいくと信じることが大切だと思っています。またファッションも大好きなのですが、人からどう思われるかを気にするより、その時自分がいちばん好きなファッションを思い切り楽しむこと。そして、いつ誰に対してもちょうどいい適温の熱量で接することを心がけています。
ー 適温の熱量で接する、というのは簡単なようで難しいかもしれませんね。具体的にどのように心がけていますか?
佐藤さん:
-
人との距離は、仕事でもプライベートでも、近からず遠からずの距離を保つようにしています。ある人に適温だねって言われたことがあるんです。人と会った時に挨拶はするんだけどふっといなくなるよね、と(笑)。会った時に相手がどんな距離感を求めているのかなんとなく肌感覚でわかるようになったのも、店頭で接客をしながらお客様を観察していた経験のおかげかなと思います。
ー 仕事では特に人との距離感は大切かもしれませんね。佐藤さんの落ち着いた雰囲気はそういう心がけから生まれるものなのですね。
佐藤さん:
-
人に対して過剰に期待をしないので、感情の起伏があまりないかもしれません。モノゴトを俯瞰で見るようにしています。怒っている人がいても「同じ土俵に上がらない」「対立しようと思わない」ことも大事。漫画家さんって世の中を俯瞰で見れているなと思うんです。日常の面白く切り取るプロですよね。そんな風に物事を俯瞰で見てどんな状況も面白がってしまえばいいんだと思っています。上司とかに対しても…(笑)。30代になってそう考えるようになったらすごく楽になりました。漫画家目線、憧れますね。
ー 人との接し方は適温で落ち着きのある佐藤さんですが、オーガニックコスメなど好きなものに対してはとても熱い想いをお持ちなのも、佐藤さんの魅力ですね。オーガニックコスメ以外には好きなものはありますか?
佐藤さん:
-
収集癖があるので好きなものはいろいろと集めています。今日着ているノルディックセーターなど、ヴィンテージの洋服が好きです。とても暖かいですよ。ヨーロッパの古い教会や民族衣装など古いものや伝統が好きで、刺繍など手仕事で作られたものにもとても魅かれます。
ー 佐藤さんも手仕事は好きですか?
佐藤さん:
-
曽祖父が本業は警察官だったのですが、着物に刺繍をする仕事もしていたんです。それで興味が湧いたのかもしれません。母もガラスに絵を描くなど手を動かすことが好きです。私も自身の結婚式ではリングピローを自分で作ったり、結婚証明書は手刺繍するなど、ほとんど手作りで仕上げました。手仕事の魅力はオーガニックコスメの魅力とも繋がります。大量生産ではなく、手仕事の温もりや想いがこもったものを選びたいですね。

左/「好きな時に好きなだけハーブティーが飲めるのが幸せです」と語る佐藤さんの自宅の一角。心地よい空間でアイディアもまとまりやすいそう。 右/佐藤さんが好きで集めている和食器の一部。「海外が好きと思われがちですが、日本のものも好きなんです。和食器は国内旅行の際に購入することも多く、集めています。これは三重県四日市市の萬古焼で、友人のご主人が作ったもの」。

左/手刺繍の洋服達や、刺繍コレクションの一部。「グアテマラやウクライナ、ルーマニア、ハンガリーなどで作られた古いブラウスなどです。半年以上もかけて作られた手の込んだものもあります。1930年代のもので今は作っている人がいない貴重なもの。現地にも行ってみたいなと思っています」。 中・右/民族衣装を着て現地の子供たちと記念撮影。「民族衣装が好きなんです。右の写真は、タイの北方、ラオスとミャンマーの国境付近に暮らすアカ族の村を訪れた時のもの。民族衣装を着せてもらいましたが、とても重かったです」。
ー 最後に、これからチャレンジしてみたいことや展望はありますか?
佐藤さん:
-
プライベート、お仕事ともに海外にご縁が多く、2018年は9カ国も渡航していました。海外の文化を肌で確かめるのはライフワークになっていて、それがあるからこそ日本の魅力も再確認できています。世界に目を向けていたら、日々の生活における問題が小さいことに感じるようになり、些細なことで悩まなくなった気がします。旅行に行ったり本を読んだり、自分の引き出しを増やしていきたいです。また最近では、木のおもちゃや玩具など幼児教育にも興味があります。最終的に何か関われたらいいなと漠然と思っています。
Photos by:Yuko Chiba

佐藤香菜さん
(さとう・かな)
ブランディングディレクター。ナチュラル&オーガニック製品を取り扱うセレクトショップ「ビープル バイ コスメキッチン」のディレクターを経て、現在はフリーランスに。企業のブランディングやコンサルなど幅広く活動中。また独自の視点で選んだおすすめのオーガニックコスメやフード、旅の様子などを投稿しているInstagram:@kana_sato622は、幅広い層の女性から支持されている。
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